直島・豊島産業廃棄物処理施設現地視察
日時 平成26年3月11(火)〜12日(水)
参加者 9名
目的
国内で規模的にも裁判においても大きく問題になった産廃の不法投棄及び処理の実態について 見識を深める。
内容
1日目
(1) 香川県直島環境センター(中塚さん)
2003年から豊島で掘り起こしたシュレッダーダストなどの廃棄物を専用輸送船で毎日300t運搬している。搬入された廃棄物は、破砕後に回転型表面溶融炉で1300℃で溶融し、溶融スラグや集塵した溶融飛灰は溶融飛灰再資源化施設で金属回収されている。
(2) 有価金属リサイクル施設・溶融飛灰再資源化施設(三菱マテリアル且R本さん)
有価金属リサイクル施設で廃自動車や廃家電のシュレッダーダストをキルン型溶融炉で1200℃で溶融し、溶融スラグは銅精錬施設で銅を回収する。溶融飛灰は、直島環境センターで発生した飛灰と合わせて浸出槽で塩素、ナトリウム、カリウム等を浸出させた後脱水し、脱水残渣は脱塩滓として銅精錬施設で銅などを回収している。金などの貴金属類も回収しているとのことであり、資源リサイクルに貢献している。
三菱マテリアル直島精錬所は1917年に設立され銅の精錬を行ってきたとのことだが、工場周辺の禿山が気になり原因を聞いた所、当時の排出ガスの影響で土壌が酸性化し植物が茂らないということであった。足尾銅山と同じ銅精錬に伴う亜硫酸ガスの影響であり、公害対策の重要性を再認識した。
(泊)海の家「つつじ荘」
2日目
(1) 豊島 資料館(ボランティアガイド森島さん)
不法投棄された場所は豊島の西北端にあり、最初に資料館でボランティアガイドの森島さんから説明を受ける。
1975年当初の状況からの住民運動や1990年の兵庫県警の捜査、裁判による1993年の公害調停申請、2000年の公害調停成立までの保存された写真等の資料を展示しており、森島さんはイチゴ農家であるが、豊島の問題を風化させないため進んで参加しているとのことであった。住民の味わった苦しみや、取り組みに頭がさがり、行政機関の的確な判断の重要性を再認識させられた。展示物の中でも投棄された深さ18mの地層を数mの高さで切り取り樹脂で固めて保存された断面は圧巻である。
(2) 掘削場、高度排水処理施設及び中間保管・梱包施設/特殊前処理物処理施設(野崎さん)
不法投棄現場の北海岸側に360mに渡って鋼矢板を打って海への汚水流入を防止し、活性炭吸着、キレート樹脂吸着処理等の高度排水処理施設で処理して海に放流している。6.9haに投棄された廃棄物約94万トンで約70%が処理済みである。最近不法投棄現場の別の場所に新たな廃棄物が見つかったとのことで、処理費用予定総額800億円、完了平成28年とのこと。現地を直に見て問題の大きさと切実さそして、現状復旧にかかる費用の大きさを実感した。