核融合科学研究所視察報告書

1.概要

 OPEA環境情報事業として、事前に検討議論を行った結果、今後の科学技術の発展に伴うエネルギー・環境問題に対応するものと考えられ、またSDGs(持続可能な環境目標)を達成する一つの手法として、「核融合」技術の研究・事業化が将来進められることを期待して施設の視察を行ったったものである。

2.視察を行った施設名

 大学共同利用関連法人 自然科学研究機構  核融合科学研究所(NIFS)
  〒509-5292 岐阜県土岐市下石町322-6  TEL 0572-58-2222
  沿革)
   1989年5月  核融合科学研究所を名古屋に設立
   1995年8月  主力施設 大型ヘリカル装置LHD建屋竣工
   1997年7月  土岐市へ移転、研究所所在地を岐阜県に変更
   1997年12月  大型ヘリカル装置LHD完成
   1998年4月  LHD装置実験開始
   2004年4月  大学共同利用機関法人「自然科学研究機構」発足
   2017年3月  LHD重水素実験開始
   2022年12月  LHD重水素実験終了
   2023年4月  研究組織等を改変、ユニット体制移行
  LHDはミッションを学際的研究に転換し、学術研究基盤として運用開始
  自然科学研究機構NIFSの組織)
   2024年4月現在  機構長をトップとして機構内に5研究機関を保有している。
   ① 核融合科学研究所
   ② 国立天文台
   ③ 基礎生物学研究所
   ④ 生理学研究所
   ⑤ 分子科学研究所

3.核融合科学研究所の概要

 核融合科学研究所は大学共同利用機関として、大型の研究施設をはじめ、様々な研究 装置群を共同研究に供し国内外の大学や研究機関との共同研究を進めることで、核融 合科学の発展とともに科学技術の基盤形成に寄与することを目的に、核融合エネルギ ーを広く利用可能な実現に向けてプラズマ物理をはじめ、ミクロの量子プロセスや材 料科学、装置・機器技術までの色々な研究課題に取り組んでいる。
当該研究所の組織は運営会議を軸に成り立っている。
   所 長  吉田善章
   3組織  研究部
        技術部
        管理部
   人 員  技術職員(所長を含む)  149名
        事務職員等         62名
        計            211名

1) 研究体制

 研究所のアイデンティティを10ユニットの研究テーマの集合体として、202 3年度から10ユニット体制で進められており、10年間の核融合科学をリードす る共同研究を推進している。
そのユニットの一部を紹介すると、
 ・構造形成・持続性ユニット
  核融合プラズマを題材として、様々なシステムに共通する構造形成の背後に ある普遍的な法則の探求などを行う。
 ・プラズマ量子プロセスユニット
  プラズマや物質に生起する原子・分子・光の量子過程から、集団の物性やダ イナミックスが如何に規定され、集団現象としてどのように観測されるか等の課題研究を進めている。
 ・その他、プラズマ複相関輸送ユニット、複合大域シュミレーションユニット、超電導・低温工学ユニットなどである。

2) プラットフォーム企画室

 同研究所が有するプラットフォーム(共同研究の基盤となる研究装置群)管理運用を行っており、主力装置の大型ヘリカル装置LHD部門や計算機部門など運用を行っている。

4.視察概要等のまとめ

1)日程・内訳

 核融合研究所との応接の都合により、令和6年11月17日(日)~18日(月)の日程で訪問し、1日目は研究所に近い恵那峡を訪問し良好な大気等の環境を観察など行い、2日目は視察の目的である岐阜県多治見市の核融合科学研究所に同研究所見学・原理、構造を示した研究装置など、約1時間を超える見学・視察を行った。

2)視察の概要

 〇研究担当者(総合研究大学院生)から研究所と核融合の仕組みをビデオなどにより閲覧、概略の説明を受けた。
 〇見学者用実験室を訪問しデシケーターを用いた各種の真空実験(デシケーターを用いた実験で空気を抜いていくと、水の蒸発・風船のふくらみ・時計の音の変化など我々も理解しやすい説明)等の講義、観察し担当者に各種の質問を行った。
 〇研究開発棟・総合研究大学等の見学を実施。まず大型ヘリカル装置LHDの実験時に別棟の建物内にある遠隔操作が可能な制御室を見学し、200台以上のパソコンが整然と並ぶ状況は感激するものである。LHDは今回実験中でないので見学はできないが、LHDの試作段階のLHD部分構造部品(捩じれた磁力線を捩じれたコイル;ヘリカルジバコイルで生成しているヘリカル)、LHD金属材質等を説明を受け当該LHDが世界最大級であることを認識した。また核融合に関するモデル機器、装置及び展示説明を順次に視察を行った。

3)評価・まとめ

 地球温暖化がエネルギー源から出る二酸化炭素が主な原因であることから、安定したエネルギーを大量に供給可能な核融合エネルギー(核融合炉)を開発することは重要な目標であり、核融合炉による発電が期待されるものである。

5.視察総括

 R6.11.17(日)午前9時過ぎに大阪・京都を出発し14時ごろ恵那市大井町恵那峡に到着、木曽川をせき止め大井ダムによってできた恵那峡の紅葉を視察、恵那峡を望む付近のホテルに宿泊した。
 R6.11.18(月)午前9時過ぎにホテルを出発しJR多治見駅到着、市内を散策後に午後1時過ぎに核合研究所を訪問した。研究所の担当者から「核融合関係」の説明を受けたのち、所内を視察しその最新技術にOPEA会員は大変な感激と驚きを受けたものである。